【大歩危・小歩危】
吉野川の中流域にある深い渓谷が大歩危・小歩危と言われる
景勝地となっています。結晶片岩の白い岩と、濃い青緑色の
水流、そして山々を彩る木々の緑が美しいコントラストを
生み出しています。また岩と岩の間をすりぬけて行く渓流
下りの観光船は、この吉野川でしか味わえないスリリング
な体験を提供してくれます。
【祖谷渓】
祖谷(いや)川が刻んだV字渓谷の祖谷渓は日本三大秘境
の一つにも数えられており、春の新緑、秋の紅葉は絶景と
言ってよいほどの美しい景観を現出します。また西祖谷にある
かずら橋はシラクチカズラと呼ばれる蔓で作られた吊り橋です。
長さ45メートル、幅2メートルというサイズですが、川面
からの高さが14メートルもあり、足元に隙間があって
下が見えるため、渡るためにはけっこうな勇気が必要です。
かつてこの辺りが平家の落人の里だったころ、追手が来ても
すぐ橋を切り落とすことが出来るよう、蔓を使った橋にした
という伝説も残されているようです。また東祖谷には「野猿」
と呼ばれる人力ロープウェイがあります。これはあずまやの
ような屋根がついた輿状の乗り物が川を渡って張られたスチール
製のケーブルにぶら下がっていて、対岸から渡されている
ロープを手繰り寄せることによって向こう岸まで辿りつく、
という甚だ素朴なシステムによる渡河装置なのです。
【ウミガメの故郷日和佐海岸】
現在は町村合併で美波町となっていますが、日和佐の大浜
海岸はウミガメの産卵地として有名です。毎年5月中旬から
8月中旬にかけてアカウミガメが産卵のためにこの海岸に
やってきます。この海岸には「日和佐うみがめ博物館カレッタ」
があります。カレッタとはアカウミガメの学名で、施設内には
世界のウミガメの剥製や、ウミガメの生態を観察できる水槽
などが設置されています。
【四国霊場第一番札所霊山寺】
りょうぜんじ、と読みます。四国をまわる時、霊場八十八か所は
どうしても避けては通れないものです。お遍路さんのようにすべてを
巡拝するということではなくても、付近を訪れた時には出来るだけ
参拝をしておきたいものです。
徳島県には一番から二十三番まで、発信(ほっしん)の道場と呼ばれる
変化に富んだ巡拝路を持つ二十三カ寺の札所寺院が点在しています。
霊山寺は徳島駅から列車で20分ほどの坂東駅近くにある第一番札で
いつも大勢のお遍路さんで賑わっています。その中にはこれから巡礼の旅
に出る緊張した面持ちの人々がいます。一方で山を挟んだ香川県側にある
八十八番大窪寺で八十八か所すべてを巡って結願(けちがん)を果たした
お遍路さんが、お礼参りのために一番を再訪している、自信と達成感に満ち
た表情の人々もいて、本堂内はパワーに満ちた般若心経の朗詠が響いていま
す
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